福祉委員かわら版
180号 令和2年9月1日 発行まだまだ暑い日が続いています
9月に入りましたが、厳しい残暑が続き、今後も熱中症が心配されます。
対策として、屋外で人と十分な距離(2m以上)を確保できる場合には、マスクを外すことや、室内でもこまめな水分補給を行うこと、エアコンを活用し暑さを避けるなど、近所の高齢者や気にかけている方に声かけをお願いします。
福祉委員の皆さまも熱中症にお気をつけください。
コロナ禍による影響
~認知症について~
新型コロナウイルスの感染が拡大し、私たちの生活のあらゆる面に影響を与えています。
地域の方から、次のようなお話を伺いました。
「介護サービスを受けている母が自宅で過ごすことが多くなってから、ご飯を食べたことを忘れることが増えた気がする…」
この方のお母様は、デイサービスを利用していましたが、新型コロナウイルスの感染を心配され、デイサービスの利用を一時休止し、在宅で介護されていたとのことでした。
ある研究機関の発表によると、新型コロナウイルス感染拡大下で認知症の方やその家族にどのような影響があったかを調査したところ、在宅で介護サービスを利用している認知症の方の半数以上が「認知機能の低下、身体活動量の低下等の影響がみられた」と回答があり、「外出自粛等の感染予防のための取組により、身体機能の低下等の悪影響が認知症者に生じていた」と報告されています。
このように、コロナ禍の感染予防対策は認知症の方にも様々な影響を与えているようです。
「自分や家族、身近な人が認知症になったら、どうしたらいいのだろう」「認知症ってそもそもなんだろう」と不安や疑問に感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、今回は、認知症について取り上げます。
認知症って?
認知症は、老化によるものとして見過ごされがちですが、脳の障害によって発症する「病気」です。
記憶・判断力の障害などが起こり、生活に支障が出る状態を言います。
様々な原因で脳の細胞が死んだり、働きが悪くなることにより発症します。
働き盛りの世代でも発症するおそれもあることから、認知症は誰にでも起こりうる病気と言えます。
老化によるもの忘れとの違い
年齢を重ねると誰でも、思い出したいことがすぐに思い出せなかったり、新しいことを覚えるのが困難になったりします。
しかし、認知症は、このような「老化によるもの忘れ」とは違います。
違いについて、次の表にまとめました。
老化によるもの忘れ | 認知症によるもの忘れ | |
---|---|---|
体験したこと | 一部を忘れる 例)朝ごはんのメニュー |
体験そのものを忘れる 例)朝ごはんを食べたこと自体 |
もの忘れの自覚 | ある | ない |
探し物に対して | (自分で)努力して 見つけようとする |
誰かが盗ったなど、 他人のせいにする |
曜日や場所の認識 | 日付や曜日を 間違うことがある |
日付や曜日、場所が わからなくなる |
症状の進行 | 極めて徐々にしか 進行しない |
進行する |
例えば、体験したこと自体を忘れてしまったり、もの忘れの自覚がなかったりする場合は、認知症の可能性があります。
認知症の方の気持ち
認知症の方は、私たちと同じように心情も様々です。
「思い出せない」「言葉が出てこない」「時間や場所がわからない」など、もの忘れによる失敗や、今まで苦もなくやれていたことがうまくいかなくなることが徐々に多くなり、何となくおかしいと感じ始めます。
認知症の方は理解力が落ちても、感情面はとても繊細です。
本人の不安や焦りなどが影響して、暴言や暴力、妄想、徘徊、無気力などの症状が起こることもあります。
ですが、適切な治療や周囲のサポートなどで、ある程度の予防や症状を和らげることができます。
認知症の方と接するときの心がけ
認知症の方と接するときは、次の①~③を心がけて接しましょう。
①目線を合わせて、目を見て話す
②急がずにゆっくりと、本人のペースに合わせる
③否定したり、怒鳴ったりせず、優しく接する
認知症は、進行していくことで生活に支障が出てきますが、できることがなくなったわけではありません。
あたたかく見守り、周囲のサポートを受ければ、自分でやれることを継続でき、その人が住み慣れた地域で、その人らしく、安心して過ごすことができます。
そのためには、まず、認知症のことについて、知っておくことが大切です。
自分自身や家族、ご近所など周囲の方が認知症を正しく理解し、正しい知識を持っておくことで、認知症になっても安心して暮らし続けることができる地域につながっていくのではないでしょうか。
認知症かな…と思ったら
認知症は、早期に発見し、早期に適切な治療を受けることが重要です。
また、薬で認知症の進行を遅らせたり、症状を改善したりすることもできます。
自分自身や家族、ご近所など周囲の方に「もしかして認知症では…」と思われることがありましたら、まずは、専門機関に相談しましょう。
社協でも相談を受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。
うきは市社会福祉協議会
浮羽事務所 0943-77-8351
吉井事務所 0943-76-3977